言語処理学会ニュースレター

Vol. 9 No. 2 (2002年6月6日発行)


目次

第8回通常総会開催のお知らせ

第8回年次大会プログラム委員会からの報告

第8回年次大会実行委員会報告

年次大会優秀発表賞決定のお知らせ

2001年論文賞決定のお知らせ

メイリングリスト(アドレス)の変更のお知らせ


第8回通常総会開催のお知らせ

すでに、はがきによりご案内しておりますが、6月28日に東京工業大学において第8回通常総会を開催します。ご出席下さい。なお、欠席の方はもれなく委任状(ご案内の返信用はがき)に記入捺印のうえ、6月15日までにご返送下さい。また、併せて、第8回年次大会優秀発表賞・論文賞の授賞式を行ないます。

日時 2002年6月28日(金) 16時から17時
会場 東京工業大学 西8号館E棟 10階大会議室
(東京都目黒区大岡山2-12-1, Tel: 03-5734-3046/2685)
http://www.titech.ac.jp/map/ookayama/index-j.html

総会次第

  1. 会長あいさつ
  2. 年次大会優秀発表賞・論文賞の表彰
  3. 2001年度活動報告
  4. 2001年度決算報告、監査報告
  5. 2002年度活動計画
  6. 2002年度予算案
  7. 2002年度評議員構成、役員構成


第8回年次大会プログラム委員会からの報告

第8回年次大会は、多くの方のご協力とご参加を得て、無事に、しかも盛大に開催することができました。大会の内容については、実行委員長の井佐原均さんからご報告されますので、企画に関連する事項についてご報告します。

今回、プログラム委員長を担当させて頂きましたが、不慣れなこともあって、様々な問題で実行委員長に助けて頂きました。また、前の経験者であるNHKの浦谷則好さんにも大変お世話になりました。始めに、ご両名の方にお礼を申し上げたいと思います。

今大会のプログラム委員会が発足したのは、10月になってからです。企画内容のアナウンスなどが遅れ、皆様にご心配をおかけしたことと思います。また、遅れてスタートしたとは言え、企画については魅力のある内容になったと思いますが、これは、それぞれの企画を具体化して頂いた13名のプログラム委員の方々のおかげです。大変ありがとうございました。

また、今回の会場と会場までのバスの便は、通信総合研究所様のご厚意で無料で準備して頂きました。快適な会場で椅子も良く、長時間のセッションにもかかわらず聴講と議論に集中して頂けたのではないかと思います。通信総合研究所様に厚く御礼申し上げます。

今回の年次大会は、前回に比べて、場所が都心部から少々離れているため、期待通りの参加者数が得られるかどうか大変心配しました。会場費とバス便の予算が不要とはいえ、予算計画を作成してみると、400名規模の参加者を見込まないと収支を合わせるのが難しい様子でした。従来は、大会経費で赤字が出たら、ワークショップの利益で補填する構造であったようですが、今回は、大会独自で収支を合わせることを考えたため、緊縮予算となりました。

ところが、あけてみると、論文発表の申し込みは、175件で過去最大となり、参加者も400名を超えました。論文集の印刷部数を抑えていたこともありますが、会議が始まると、準備していた論文集の部数がみるみる底をついてきて、不足が生じるのではないかと心配しました。幸い、最終日まで持ちこたえましたが、会議後配布予定と予備保存用の予稿集がなくなってしまったため、追加印刷することになりました。

プログラムの内容については、今回、チュートリアル、ワークショップに始まり、本会議では、一般発表とポスター発表に加えて、招待講演2件とパネル討論を企画しました。

招待講演2件とパネル討論を併せて実施することは初めてではないかと思うのですが、これらの時間帯は、論文発表は行わないのが通例です。今回、論文発表の申し込みが多かったこともあって、残りの時間で論文発表を消化できるかどうかが問題でした。ポスターセッションの件数の割合が大きかったこともあって、3セッション並列の構造で、ぎりぎりプログラムを組むことができました。休憩時間が少なく、長時間のセッションばかりとなりましたが、会場の椅子の良さに助けられたと思います。プログラムの編成や座長の依頼などを担当して頂いた東芝の平川秀樹さんには、大変ご苦労をおかけしました。

今回の大会では、理事会から、優秀発表賞の選考手順を詳細化すること、また、選考委員会を設け、候補論文を選考することが指示されていました。選考委員は、各セッションに複数配置することが要請されておりましたので、セッション数の2倍の40名以上の方に選考委員をお願いしました。

担当して頂くセッションとしては、ご自分の発表がなくて、なるべく興味のある得意の分野であることが望まれます。このような条件で、これだけ多くの方に、担当セッションに張り付いて頂くのは単純ではなかっただろうと思います。選考委員会の人選から始まって表彰候補論文の選考までを担当して頂いたATRの白井諭さんと馬青さんには、ご苦労をおかけしました。

最後に、ボランティア構造に支えられた年次大会のあり方について感じたことを述べたいと思います。今回、プログラム委員長をお引き受けして一番困ったことは、今までどうのようにやっていたかを知らなかったことです。何をすればよいか、また、それは、いつ、どうのような手順でやればよいかの判断に迷いました。

これらのことは、井佐原さんと浦谷さんのご経験を頼りに決めてきましたが、振り返ってみると、実際に計画を組んだり、論文募集の案内を出したりする労力よりも、むしろ、判断に必要な関連情報を得るまでの労力の方が大きかったのではないかとさえ感じます。確かに、一度経験すればノウハウが分かりますから、迷うことはなくなると思いますが、新しい担当者は、また同じ苦労をすることになります。

また、作業内容にも、手順化することで、外部に切り出したり省力化できることが多いと思われます。例えば、毎回、論文集の印刷所の選定のための合い見積もりなどで右往左往するするのも能率の良いことではありません。

前回のプログラム委員長の報告にもあったことかと思いますが、年次大会の遂行体制として、このような構造が長続きするかどうか、今ひとつ不安です。予算との関連もありますが、年次大会もすでに回を重ね、年中行事として定着してきています。そろそろ、今までの構造を見直して手順化し、業者への業務委託を中心とする構造に切り替えることを検討しても良いのではないでしょうか。

第8回年次大会プログラム委員長
池原悟(鳥取大学)


第8回年次大会実行委員会報告

第8回言語処理学会年次大会開催にご協力いただき、ありがとうございました。

けいはんなという場所柄、従来よりも参加者が減るのではないかと危惧していましたが、結果として本大会には411名の参加と、ここ数年で最大の参加者数となり、盛況のうちに終わることができました。皆様のご協力のおかげと感謝しております。

第7回までの年次大会は大学がホストとなっており、会場も大学内で行われてきました。今回、大学以外の機関として初めて、独立行政法人通信総合研究所がホストをさせていただくこととなり、これまでとは多少違った大会運営となりました。ひとつには、通信総合研究所けいはんな情報通信融合研究センターには、年次大会を行うだけの施設がありませんので、隣接する「けいはんなプラザ」を会場としたことです。多少の問題点はあったかと思いますが、基本的には参加者の方々には快適な環境となったのではないかと思います。また、通信総合研究所が京都から1時間ほどかかる場所にあり、近隣に宿泊設備や供食設備がないことから、ホームページからのホテル・昼食弁当の予約、最寄駅からのシャトルバスの運行を行いました。また、通信総合研究所は学生を抱えていませんので、会場運営は、従来の学生アルバイト方式ではなく、受付業務は外注し、その代わり、会場内のスタッフは通信総合研究所の研究者が対応することで対応しました。

今回の年次大会のもうひとつの特色として、前の週にTMIが同じくけいはんな地区で開催されたことを受け、チュートリアルを相互乗り入れすることにしました。具体的には、片方の会議のチュートリアルに参加した人は他の会議のチュートリアルにも参加することが可能(資料代別途)としました。これにより、参加者から見れば、選択の範囲が広がったものと思われます。このような日程のため、従来の「チュートリアル(月)、本大会(火〜木)、ワークショップ(金)」という日程を、「ワークショップ(土)、チュートリアル(日)、本大会(月〜水)」と変更しました。なお、言語処理学会のチュートリアルへの申込者は111名でした。

最後に、本会議の実行にご協力いただきました実行委員会の各委員、会場運営を効率的に行っていただいたインターグループの方々、例年、変わらぬ協力をしていただいております学会事務センター、また会場内で精力的に動き回ってくれた通信総合研究所自然言語グループの面々、その他、今回の開催に協力いただいた方々に感謝いたします。

第8回年次大会実行委員会委員長
井佐原均(独立行政法人通信総合研究所)


年次大会優秀発表賞決定のお知らせ

各セッション2名の選考委員とプログラム委員を含む計45名で年次大会優秀発 表賞選定委員会を構成して審議を進めた結果,次の4件を第7回年次大会優秀発 表賞として選定しました.
B4-6
「頑健な格解析を実現する格フレーム辞書の自動構築」
河原大輔(京都大学), 黒橋禎夫(東京大学)
B1-5
「機械翻訳システムの有効性の評価 -どのような人にとってMTは役立つか-」
富士秀(富士通), 畠中伸敏(キヤノン), 伊藤悦雄(東芝), 亀井真一郎(NEC), 隅井裕之(日立), 介弘達也(沖電気), 吉見毅彦(シャープ), 井佐原均(通信総研)
C3-5
「Construction of a Japanese Learner-Friendly Dictionary Interface」
Slaven Bilac(東京工業大学), Timothy Baldwin(CSLI/Stanford University), 田中穂積(東京工業大学)
A6-6
「言語情報を利用したテキストマイニング」
工藤拓, 山本薫, 坪井祐太, 松本裕治(奈良先端大)

第8回年次大会プログラム委員
白井 諭(ATR)


2001年論文賞決定のお知らせ

昨年度制定された論文賞規程に従い、論文賞選考委員会において、『自然言語処理』9巻1号から4号に掲載された論文を対象に、論文賞の選考を行ないました。その結果、下記の論文が2001年度論文賞を選ばれました。

論文賞

WFSTに基づく確率文脈自由文法および拡張文法の高速EM学習法
亀谷由隆, 森高志, 佐藤泰介
(Vol.8, No.1に掲載)

推薦理由

括弧なしのコーパスから、確率文脈自由文法(PCFG)を訓練するためのEM(Expectaion-Maxiimization)アルゴリズムとして、従来、Inside-Outsideアルゴリズムが知られているが、計算速度が遅い点が問題であった。本論文では、この問題に対して、文法構造は既知として、高速なEMアルゴリズムを提案している。この方法は、訓練過程を構文解析とEM学習に分離する方法で、EM学習において一般化LRパーサーなどで生成されるWFST(well-formed substring table/構文部分木の集合)を使用する点に特徴がある。提案された方法は、ATRコーパス(平均10単語の文)の場合、約1000倍に向上するなど、文法学習時間が大幅に短縮する点で画期的である。構文解析で様々なパーサーを使用する場合についての適用性やその効果についても検討されている。記述は丁寧であり、確率文脈自由文法の学習という自然言語処理の重要な問題を広く紹介する点でも優れている。その内容は厳密で信頼性が高く、優秀論文賞に相応しい論文である。

論文賞選考経過

昨年度、理事会で承認された手続きにしたがって2001年に出版された自然言語処理9巻1号から4号に掲載された論文から以下の手続きで論文賞候補論文を選定した。

(1) 2002/1/10に編集委員会委員を中心にした論文賞選定委員を決め、第1回の選考委員会を開き、選考方法を確認した。すなわち、上記各号に掲載された論文のうち、査読点数が4点以上の論文、および役員、評議員から推薦のあった各論文を2名の選考委員が読み、10点法で採点した。

(2) 2002/4/5の第2回選考委員会この結果を見て議論した結果、上位4件を第1次候補論文として選んだ。第1次候補論文を選考委員全員が読み、4月末日までに1論文を選び投票した。この結果第1位の得票を得た論文を論文賞論文として推薦する論文を選定した。

論文賞選定委員会委員長
中川裕志(東京大学)


メイリングリスト(アドレス)の変更のお知らせ

既にメイルにてお知らせ致しましたように、言語処理学会会員メイリングリストの運用が通信総合研究所から日本学会事務センターに移りました。これにともない、メイリングリストのアドレスが、以下のように変更になりました。
旧:nlp-members@endive.crl.go.jp
新:nlp-ml@bcasj.or.jp

メイリングリストに関するお問い合わせは、宛にお願い致します。

メイリングリストからのメールの受信を一時的に停止したい(間違えてアドレスを登録してしまったのですぐに停めたい、あるいは長期出張などでしばらく受信したくない等の)場合は、本文の先頭に

off
end
と書いたメールを宛に送ってください。

再開したいときには

on
end
を送れば、再び受信できるようになります。

ただし、毎月末に行う予定の配信先リストの更新時に、on, off のコマンドはon の状態に強制設定されますので、ご注意ください。

また、このメイリングリストが会員の情報交換用のものです。このメイリングリストの購読を止めても学会からのニュースレター等の情報は届きます。

なお、このメイリングリストには従来通り会員としてアドレスを登録している方しか投稿できません。会員かどうかは、投稿されたメールの「From」を見てチェックしています。この設定を変えられますと、投稿が受け付けられなくなりますので、その点についてもご注意ください。

メールアドレスの変更はWebページ上でもおこなえるようになりました。詳細は、以下のWebページを御覧ください.

http://edpex004.bcasj.or.jp/nlp/nlp_nl1.cfm


学会に関する問い合わせは「学会センター関西」にお願いします.

学会センター関西:
〒560-0082 豊中市新千里東町1-4-2
千里ライフサイエンスセンタービル14F
学会センター関西 (担当: 山元 理恵)
Tel: 06-6873-2301, Fax: 06-6873-2300
Email: o-socie@bcasj.or.jp

言語処理学会事務局:
〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1
東京工業大学 大学院情報理工学研究科
計算工学専攻 田中研究室内
Tel: 03-5734-3046, Fax: 03-5734-2915
URL: http://www.crl.go.jp/nlp

ニュースレター担当(佐藤理史)
〒 606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻
Fax: 075-753-5962
Email: sato@i.kyoto-u.ac.jp

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