言語処理学会ニュースレター

Vol. 19 No. 2 (2012年9月21日発行)

目次

言語処理学会第18回年次大会報告
第18回年次大会 プログラム委員会からの報告
言語処理学会第18回通常総会報告
2011年度論文賞について(既報)
第18回年次大会 優秀賞の選考について
第18回年次大会 若手奨励賞の選考について
第19回年次大会について

□言語処理学会第18回年次大会報告

第18回年次大会実行委員長
竹澤寿幸(広島市立大学)

◯ 場所・期日

言語処理学会第18回年次大会は,広島市立大学(広島県広島市)において,次の通り開催されました.
    チュートリアル 2012年3月13日(火)
    本会議 2012年3月14日(水)〜16日(金)

◯ 内容

プログラム委員会からの報告をご覧ください.


◯ 参加状況

事前受付 当日受付 合計
チュートリアル 299名 52名 351名
本会議 539名 145名 684名

◯ 総括

 従来の慣習によれば第18回年次大会は東京近郊で開催される順番となるのですが,前回年次大会の最終日に発生した東日本大震災の影響などが心配されるため,西日本の広島市立大学で開催することとなりました.地方(東京近郊以外)開催が続きましたが,本会議の登録者数は680名規模(前回年次大会は600名規模)となり,大盛況でありました.

 運営体制としては,言語処理学会の正会員である広島市立大学の教員に実行委員をお願いしました.講堂や教室などの設備および学内ネットワークを年次大会参加者に無料で提供するために,広島市立大学が共催する手続きを取りました.当日の運営については,言語音声メディア工学研究室の学生諸君に多大なご協力をいただきました.ここに記して,心より感謝申し上げます.

 会計面では,多くの企業から協賛あるいは広告としてご援助をいただきました.協賛あるいは広告としてご援助いただいた企業のチラシを配布するための手提げ袋を作成することとし,その手提げ袋にご援助いただいた企業・団体のロゴマークを入れました.企業展示は休憩室で行いましたので,意見交換などが活発になされていたように思います.

 特に大きな問題もなく,無事に年次大会を終えることができました.テーマセッションなど内容の企画を担当されたプログラム委員会の皆様に感謝いたします.


□第18回年次大会 プログラム委員会からの報告

第18回年次大会プログラム委員長
関根聡(ニューヨーク大学・楽天)

 第18回大会は過去最高の340件の口頭・ポスター発表がありました.また参加者も680名と東京から遠い地方大会としては非常に多くの参加者があり,例年どおり活気のある大会となりました.ご参加いただいた皆様,また直接大会の運営・企画にご尽力いただいた実行委員会,広島市立大学の関係者の皆様,プログラム委員会の皆様に厚くお礼を申し上げます.大会内容は下記のとおりです.なお,ワークショップは例年通りにテーマ募集を行いましたが,応募がなかったため開催致しませんでした.

 年次大会は本学会会員にとって極めて重要な情報発信・交換の場となっており,今後も会員みんなで育てていく必要があると思います.ご意見,ご批判,ご提案などありましたら,今大会あるいは次回大会のプログラム委員会,実行委員会にお寄せいただければ幸いです.

 以下に大会でのイベントの概要を報告いたします.(所属等は講演時点のもの)

○本大会
発表件数: (取り消しを除く実績) (3月14日〜3月16日)

口頭発表 (テーマセッションを除く) 187件
ポスター 114件
テーマセッション (39件)
 1 : コーパス日本語学―その期待と可能性 5件
 2 : 文書の作成/校正支援 16件
 3 : 災害時における言語情報処理 11件
 4 : Twitterと言語処理2012 7件

○招待講演 (3月15日)
Patrick Pantel (Microsoft Research)
   「Active Objects: An Entity-Centric Search Experience」

市川熹 (早稲田大学人間科学学術院教授)
   「障害者・高齢者と対話のことば」

○チュートリアル (3月13日)
「大規模言語資源時代の意味談話処理」
   乾健太郎 (東北大学)

「統計的機械翻訳の最先端」
   渡辺太郎 (NICT)

「ネットワークと機械学習」
   鹿島久嗣 (東京大学)

「『現代日本語書き言葉均衡コーパス』による日本語研究の展開」
   山崎誠 (国立国語研究所)

□言語処理学会 第18回 通常総会報告

宇津呂武仁(総務担当理事)
・日時: 2012年3月15日(木) 13:00〜14:00
・場所: 広島市立大学講堂大ホール
・出席者: 133名,有効委任状 193名 (内 議長への委任193名)

まず,橋田会長より挨拶がありました.続いて,2011年度論文賞1件,第17回年次大会最優秀発表賞1件,優秀発表賞6件,若手奨励賞2件の受賞式が行なわれました.続いて,出席者数が定足数を満たすことを確認し,第18回通常総会が開催されました.橋田会長が議長として選出され,以下の議題の審議が行なわれました.

・2011年度 事業報告 (橋田会長)

橋田会長より資料「第18回通常総会」に基づき,2011年度の事業報告があり内容が承認されました.

・2011年度 決算報告

資料「第18回通常総会」に基づき,田口理事より2011年度の決算報告,榑松監事よりその監査報告があり,いずれの内容も承認されました.

・2012年度 事業計画

橋田会長より資料「第18回通常総会」に基づき,2012年度の事業計画の説明があり,その内容が承認されました.

・2012年度 予算案

橋田会長より資料「第18回通常総会」に基づき,2012年度予算案について提案があり,その内容が承認されました.

・討論内容
+ 特別会計「活性化基金」に関して
退任される橋田会長より,特別会計「活性化基金」に関して,今後の学会運営方針の考え方についていくつかの可能性の説明があり,2012年度理事会運営の際の指針の参考にして欲しい旨のコメントがありました.

□第18回年次大会 優秀賞の選考について

第18回年次大会プログラム委員長
関根聡(NYU,楽天)

 言語処理学会年次大会優秀賞は,年次大会において,論文の内容およびプレゼンテーションに優れたものと認められた発表論文に与えられる賞です.また,優秀賞のうち特に優れたものがあれば,最優秀賞として選定されます.優秀賞の件数は全発表件数の約2%を目途とする規定になっており,今大会でもこれに基づいて選定を進めました.今回の年次大会では340件の発表がありましたので,授賞件数は6〜7件を目安としました.

 今大会から,賞の名称がこれまでの「(最)優秀発表賞」から「(最)優秀賞」に変更されました.大会賞は,発表の良し悪しだけではなく,発表と論文を含む総合的な表彰であることが変更の主な理由です.

 前回大会に引き続き,少人数の選考委員会を組織し,慎重な議論を重ねた上で選定を行いました.各授賞論文には議論で合意された授賞理由が付記されます.また,責任を明確にするために,最終選考に関わる委員の名前を公表します.ただし,最終的な責任は委員長の関根が負うものとします.選考プロセスは次の通りです.

 まず,各セッションの座長および一般参加者から優秀賞および別に述べる若手奨励賞の推薦を募りました.その結果,60件(うち優秀賞候補は38件)の論文への推薦が集まり,これらを選考の対象としました.選考は1次選考と最終選考の2段階で行いました.

 1次選考では,上記60件の論文を研究分野に基づいて3つのグループに分け,各グループに3〜8名,計18名の選考委員を割り当てて審査しました.各グループでは,重み付き投票を行い,4〜11件の候補を推薦理由を添えて推薦しました.この結果,優秀賞への推薦が14件(うち6件が若手奨励賞候補をかねる),若手奨励賞のみへの推薦が7件となりました.

 最終選考では,8名の委員からなる優秀賞最終選考委員会を組織し,上記14件の優秀賞候補論文を全員で審査しました.全選考委員による重み付き投票および遠隔会議による討議の結果,上位5件を優秀賞として推薦することとしました.これは授賞件数の目安6〜7件を下回りますが,6位以下との間に比較的明瞭な差がついたため,このような結果となりました.また,文科系,基盤技術,応用技術等の分野から満遍なく選ばれる結果となりました.上記5件のうち,特に高い評価を集めた上位1件を最優秀賞として推薦することとしました.

 9月10日に開催された理事会におきまして,これらを推薦・諮問し,承認を得ました.以下が第18回年次大会において優秀賞に選ばれた論文とその授賞理由です.選考にご協力いただいた皆さまにこの場を借りて感謝申し上げます.

第18回言語処理学会年次大会優秀賞

優秀賞最終選考委員会
 関根聡(委員長, NYU,楽天)
 黒田航(杏林大)
 小磯花絵(国語研)
 鈴木久美(MSR)
 関洋平(筑波大)
 徳久良子(豊田中研)
 萩原正人(楽天)
 東中竜一郎(NTT)

■最優秀賞(1件)

C4-5 シンボル細分化を適用した階層Pitman-Yor過程に基づく木置換文法獲得法と構文解析への応用
○進藤裕之(NTT),宮尾祐介(NII),藤野昭典,永田昌明(NTT)

■優秀賞(4件)

A4-2 流言情報クラウド:人間の発信した訂正情報の抽出による流言収集
○宮部真衣(東大),梅島彩奈,灘本明代(甲南大),荒牧英治(東大)

B1-4 線形関数とプラトー割込による幼児語彙発達のモデル化
○南泰浩,小林哲生,杉山弘晃(NTT)

C5-3 Web上のひらがな交じり文に頑健な形態素解析
○工藤拓,市川宙,David Talbot,賀沢秀人(Google)

D1-7 大規模世界知識を用いた仮説推論による談話解析の課題と対策
○井之上直也,乾健太郎(東北大),Ekaterina Ovchinnikova,Jerry R. Hobbs(USC/ISI)

■授賞理由

C4-5 シンボル細分化を適用した階層 Pitman-Yor過程に基づく木置換文法獲得法と構文解析への応用
○進藤裕之(NTT),宮尾祐介(NII),藤野昭典,永田昌明(NTT)

 本研究は句構造文法の構文解析の手法として,木置換文法とシンボル細分化の組み合わせを提案しています.木置換文法は文脈自由文法の一般化であり,導出規則を木の断片に拡張するものですが,一般化にともなうデータスパースネスの問題に,階層Pitman-Yor過程に基づくスムージングを適用することにより対処しています.シンボル細分化はPetrovら(2006)の split-merge 法をベイズモデルに拡張したものを用いており,用いている各基本技術はいずれも既存研究で示されてはいますが,この組み合わせは自明ではなく,それらを組み合わせることにより識別モデルを含めた従来手法を上回る state-of-the-art の性能を達成した点を高く評価します.また,技術がおおよそ確立したと考えられている英語構文解析という研究課題に取り組みこのような成果を上げた点も考慮し,最優秀賞にふさわしいと判断しました.

A4-2 流言情報クラウド:人間の発信した訂正情報の抽出による流言収集
○宮部真衣(東大),梅島彩奈,灘本明代(甲南大),荒牧英治(東大)

 本論文は,昨年の東日本震災等で問題となった流言情報,いわゆる「デマ」に対して,「情報に誤りがある場合,人間によって誤りを指摘する発言が発信されていることが多い」という仮定を立て,訂正情報を判定する問題として扱っているところが独創的です.ツイート内の手がかり語「流言マーカー」の周辺文脈を素性とした分類器を作るというシンプルな手法を用いながらも,平常時・災害時の両方において流言を高い精度で検出できることが検証されており,社会的意義の極めて高い研究と言えます.

B1-4 線形関数とプラトー割込による幼児語彙発達のモデル化
○南泰浩,小林哲生,杉山弘晃(NTT)

 本研究は幼児の語彙発達に対して通説を覆す新しいモデルを提案しています.データの量やモデル選択の方法に些か難を認めますが,その不十分さを勘案しても本論文の提案は理論的貢献が大きく,優秀賞に値すると考えます.幼児の語彙発達を説明するモデルとして,不連続な段階があるとする説と不連続な段階はないという説が対立しています.前説の支持者は語彙発達を線型関数の継ぎはぎでモデル化し,後説の支持者は語彙発達を非線型関数でモデル化します.本研究が提案するのは,いずれとも異なる新しい発達モデルです.具体的には,幼児の語彙獲得において語彙学習が全く進まない期間(プラトー=平坦部)が存在することを詳細なデータ観察から発見し,線形の語彙発達関数にプラトーが割込むと,見かけの効果として語彙爆発が存在するように見えるという発達のモデルを提案しています.これは,平坦期を無視すれば語彙学習自体の速度は一定であることを示唆するものであり,通説を覆しうる興味深い結果です.また,提案モデルは,従来の対立する二つの立場をうまく止揚したものとなっていると理解できます.モデル選択の妥当性,日誌法以外のデータによるモデルの検証の必要性,プラトーの生起要因の検討など,幾つか残された課題はありますが,結果の新規性と影響力の大きさを考えて,優秀賞に値する研究と結論できると思います.

C5-3 Web上のひらがな交じり文に頑健な形態素解析
○工藤拓,市川宙,David Talbot,賀沢秀人(Google)

 Web上のくだけた表現の一つであるひらがな表記化の問題に対して,ひらがな化確率を考慮した形態素解析手法を提案しています.この問題は,Webテキストを対象とした言語処理の技術者や研究者が直面している問題であり,有用性が高いものと考えられます.また,表記ゆれを隠れ変数としてモデル化するなど,技術的にも優れたアイデアが提案されています.提案手法は,大規模データを利用することにより,生成モデルの枠組で解決できることを示したという点で興味深いものであります.また,提案する形態素解析を用いた機械翻訳の精度も改善されており,実応用面も期待できます.

D1-7 大規模世界知識を用いた仮説推論による談話解析の課題と対策
○井之上直也,乾健太郎(東北大),Ekaterina Ovchinnikova,Jerry R. Hobbs(USC/ISI)

 自然言語処理技術において,非常に重要であるが難しい問題として,ここ10年以上の間,主流としては扱われてこなかった仮説推論についての研究に積極的に取り組んでいます.過去の研究は,対象世界を限って小さな問題として扱われてきましたが,そこに限界があったという認識がされており,規模の拡張はこの分野の発展を促す重要な課題です.本論文では,この点に対して実スケールの問題を解くことを目標にし,推論の高速化を実現し,その結果を発表しております.今後の仮説推論に研究の発展に非常に期待が持てる卓越した論文と思われます.現時点の成果は途中結果である部分が見受けられますが,今後の発展が期待されます.

□第18回年次大会 若手奨励賞の選考について

第18回年次大会プログラム委員長
関根聡(NYU,楽天)

 第15回大会より,自然言語処理分野における優秀な若手研究者の育成を目的として,若手奨励賞を設けています.以下の条件を全て満たす優秀な年次大会発表者が対象となります.

 ・年次大会開催年の4月1日において満30歳未満のもの
 ・発表者として登録かつ発表を行ったもの
 ・過去に優秀賞を受賞していないこと
 ・過去に「若手奨励賞」を受賞していないこと

 若手奨励賞の選考は優秀賞の選考と並行して進めました.各セッションの座長および一般参加者から推薦された60件の論文のうち,若手奨励賞の対象は34件でした.1次選考では,この中から13件(うち6件が優秀賞候補をかねる)が推薦されました.最終選考では,全選考委員による重み付き投票と討議の結果,まず優秀賞に選ばれた2件を除き,最終的に5件を若手奨励賞に選定しました.

 優秀賞と同様,理事会におきまして,これらを推薦・諮問し,承認を得ました.以下が第18回年次大会において若手奨励賞に選ばれた方です.

第18回言語処理学会年次大会 若手奨励賞優秀賞最終選考委員会 (同上)

A3-5 谷田和章(東大) ソーシャルメディアによる風邪流行の予測

C5-2 羽鳥潤(東大) 漸進的な結合モデルによる中国語の形態素・依存構造解析

D1-5 冨永善視(JAIST) 発話文の前提の推定

D3-7 江頭勇佑(京大) 雑談対話システムにおける強化学習を用いた応答生成モジュールの選択

F3-5 五十嵐沢馬(東工大) オノマトペの音象徴を利用した評判分析

■授賞理由

A3-5 谷田和章(東大) ソーシャルメディアによる風邪流行の予測

 本研究は,ツイートや気象情報など,インターネットを通じてリアルタイムに入手できるデータから風邪薬販売量を推定する方法を提案したものです.Twitterを通した風邪流行の予測という,従来にない言語処理の応用が提案されている点が高く評価できます.特に,風邪の流行を予測するための正解データとして総務省が公開している風邪薬販売量を利用しており,風邪薬販売量を推定するタスクに落とし込んでいるところに独創性が見られます.推定精度も非常によく,今後の展開が期待できます.

C5-2 羽鳥潤(東大) 漸進的な結合モデルによる中国語の形態素・依存構造解析

 本論文は,中国語に関して,単語分割,品詞付与,依存構造解析を同時に行う漸進的な手法を提案しています.従来は,単語分割までを含めて統合的に扱うことが困難でしたが,解析時の探索において,依存弧の総数で状態を揃えることにより解決を図っており,そのアイデア・新規性は高く評価できます.アイデア自体の評価は部分的ではあるものの,同時解析の効果は適切に示されています.また,デコーティング時の処理速度や,統語的な情報の単語分割への寄与も定量的に示されています.単語間の区切りを持たない日本語や中国語といった言語の解析に今後大きく貢献することが期待される良い成果であり,若手奨励賞に値します.

D1-5 冨永善視(JAIST) 発話文の前提の推定

 本研究は,これまで英語で研究されてきた前提,特に Levinson の示す前提トリガーを対象に,日本語文法に則して再分類した上で前提を推定するシステムを実装し,小説の会話文を対象にその性能を評価したものです.前提,特に構文型トリガーの推定精度はまだかなり低く課題は山積しているものの,言語学では研究の進んでいるこの問題を言語処理という実装の場に持ち込んだ点は評価に値します.また英語の先行研究を日本語向けに独自に解釈し網羅的に調べており,資料的な有用性も見逃せません.精度の低さは問題の深さ・面白さを示すものでもあることを考慮し,今後の展開に期待をこめて若手奨励賞とします.

D3-7 江頭勇佑(京大) 雑談対話システムにおける強化学習を用いた応答生成モジュールの選択

 高齢者や子どもの話し相手としての雑談対話システムの実用化のニーズは非常に高いものがあります.本論文は,強化学習の枠組みを雑談対話システムに適用したもので,強化学習により適切な行動が学習できることを実験的に示した点が高く評価できます.特に,応答生成モジュールの選択とユーザの入力の属性の設定に現状の技術を適切に利用しています.今後,ますますニーズが高まるであろう雑談対話システムへの適用技術として今後が期待されます.

五十嵐沢馬(東工大) オノマトペの音象徴を利用した評判分析

 言語解析において音象徴という特徴を導入したユニークな研究であり,その中でオノマトペと評判分析という密接に関連するテーマを取り上げています.素性の選択においても深い考察の跡が見られ,単に機械学習を適応したという以上の内容であり非常に面白い研究に仕上がっていると思います.今後は,論文に書かれている課題に加えて,ポジティブ/ネガティブの分類に限らない幅広い応用に突いて研究を進めていくことで広い適応範囲が考えられるものと思います.

□2011年度論文賞について (既報)

隅田英一郎(NICT)

2012年3月15日,通常総会に先立って2011年度の論文賞の表彰式が行われました.

2011年度優秀論文賞の選考:
 2011年に出版された自然言語処理18巻1号から4号に掲載された論文14件から論文賞に相応しい1件を推薦することを目標として,期間中の各号に掲載された論文のうち,査読点数が5点満点で4点以上の論文5件を対象に,以下の手続きで候補論文の選考を行いました.

(1) 個々の論文を1から5の選択肢とし,推薦するべき論文がない場合を選択肢6として,都合6つの選択肢から,選考対象論文の著者を除く編集委員の全員が,全論文を読んだ上で各自1票投票する.投票は過半数の投票者で有効とし,投票者数の過半数の得票が取れたもの(1件)を論文賞に推薦する.ただし,

 ・過半数得票がないときは,上位2件,各自1票で再投票し,1件を選ぶ.
 ・得票が同率のものがあれば,再投票の対象に加える.
 ・過半数投票が「該当なし」のときは,論文賞の推薦はなしとする.

(2) 一回目投票では過半数得票がなかったので,高得点を得た上位2件の論文を第2次候補論文とし,再投票を行ない,その最多数得票の上記の論文1件について審議し,これを論文賞候補に推薦することに決しました.

これらの結果,以下の論文に決まりました.

 タイトル: 「文書量に不変な定数―Yule の K, Golcher の VM―」
 著者: 木村大翼,田中久美子
 発行号頁: Vol.18 No.2 pp.119-138

□第19回年次大会について


第19回年次大会 (NLP2013) の開催が次のように決まりました.

日時: 2013年3月12日(火)〜15日(金)
場所: 名古屋大学(東山キャンパス)
大会実行委員長・大会実施委員長: 佐藤理史(名古屋大学)
大会プログラム委員長: 徳永健伸(東京工業大学)

今大会より事務処理軽減のため以下の運用といたします.

- 発表申込時に発表者のいずれかが会員であること
- 会員向け参加費の適用を受ける者は参加申込時に会員であること

学会に関する問い合わせ先

中西印刷株式会社 東京事務所内 言語処理学会事務局
Tel. 03-3816-0738
Fax. 03-3816-0766
〒113-0033 東京都文京区本郷5-29-12-1304
e-mail nlp@nacos.com

ニュースレター担当理事
颯々野 学(ヤフー株式会社)
e-mail msassano(at)yahoo-corp.jp